旦那が体の関係はない浮気をしていた場合に慰謝料は請求できる?
2022.10.7
旦那が浮気をしているようなのに、浮気調査をしても体の関係は出てこない場合、慰謝料を請求できるのでしょうか?
一般的に浮気で慰謝料を取るには、体の関係があったと証明する必要があるため、体の関係はない浮気には慰謝料請求はできても額は少なくなりやすいです。
この記事では体の関係はない浮気でも慰謝料を請求できた事例について解説しています。
体の関係はない浮気の慰謝料相場も合わせてご紹介しますので、最後までご覧ください。
目次
体の関係はない浮気で慰謝料請求するのは難しい
結論から申し上げると、体の関係はない浮気では慰謝料を請求することは大変難しいです。
どこからが浮気なのかは人によって解釈が異なり、「親しげに二人きりで食事していた」とか「LINEでやり取りしていた」などの行為を、浮気とみなす人は多いかもしれません。
さらに妻を悩ませるのは浮気相手が「男性」だった場合で、浮気の事実だけでもショックなのに、旦那が同性愛者だったと知った時のショックは如何なものでしょう。
しかし、体の関係を伴わないこれらのケースでは、裁判で浮気だとは認められません。
法律上で考えられている浮気と一般的に考えられている浮気とでは定義が異なり、実際、名古屋地裁S47年2月判決で、同性間の性的行為は「不貞行為にはあたらない」と判断されています。
浮気と慰謝料の定義
浮気とは法律上では「不貞行為」と呼ばれ「配偶者のある者が自由な意思を持って、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」とされています。
「精神的に好きなら既に浮気だ!」と言いたいところですが、法律上ではプラトニックな恋愛という扱いになるのです。
不貞行為があったと認められた場合、旦那と浮気相手の二人は妻への重大な裏切り行為をしたとして、損害賠償責任を負う必要があります。
浮気の慰謝料は、浮気による精神的苦痛の損害賠償を金銭で償うことです。
裁判による調停や訴訟では、浮気をされたことによる精神的苦痛の度合いや、過去の判例も参考にして慰謝料の金額を決定します。
裁判では通用しない浮気の例
いくら旦那との体の関係はないとはいえ、浮気をしたケジメとして慰謝料を請求したいのは当然です。
下記のようなやり取りがあると、妻としては浮気していると感じるでしょう。
- 「好き」「会いたい」など親密なやりとりがある
- キスやハグのみの行為
- 浮気相手と食事や遊園地、映画館などでデートした
- 浮気相手とよく長電話している
- 職場の部下や同僚、上司などとお互いに好意を持っている
しかし、これらのケースは裁判では浮気だと認められないのです。
また、同性間の浮気だった場合は体の関係があったことは証明しにくいため、これらの行為では浮気相手が女性でも男性でも、慰謝料を請求することは難しいのです。
体の関係はない浮気でも慰謝料を請求できる条件
体の関係がない浮気だと、絶対に慰謝料を請求できないのでしょうか?
実は「条件が揃えば」慰謝料請求できるケースもあります。
もちろん慰謝料が認められるかどうかは、以下の事情を含め総合的に判断することになります。
- 体の関係の有無
- 別居や離婚に至ったか
- 婚姻期間や幼い子どもの有無
- 浮気の期間や頻度
- 反省の度合い
配偶者と不倫相手との間で、体の関係がなくても慰謝料請求できる条件は以下のようになります。
- 性的類似行為
- 準不貞行為
これらの条件を満たし、第三者との不適切な関係により夫婦関係を壊されたと証明できるなら、慰謝料請求できる可能性が高くなります。
1.性的類似行為
ラブホテルの近くで抱き合ってキスする、執拗に触る、狭い部屋に数日間宿泊する、外出時も体を密着させるといった行為を性的類似行為といいます。
この場合は体の関係を確認できなくても、体の関係があったと推測され、婚姻関係を破綻させかねない行為です。
このように度を超えて配偶者と親しくする行為は、夫婦の権利を侵害するとして違法と判断されても仕方ないことです。
2.準不貞行為
会っていた頻度や会話の内容、連絡の頻度やその内容にもよりますが、隠れて食事や連絡をとる場合です。
家庭を顧みずにデートを繰り返したり、配偶者に「好きな人が出来たから別れてほしい」と告げる、過去に浮気した相手と再び会うなども含まれます。
友人関係では考えられないくらい高額のプレゼントを贈り合うのも、浮気を疑われても仕方がありません。
このように、体の関係はないとしても夫婦関係を壊す可能性の高い、第三者との交流を準不貞行為と呼びます。
配偶者と必要以上に接近し、夫婦関係を破綻させられる可能性があるなら、浮気相手には慰謝料請求ができるのです。
旦那の体の関係はない浮気で慰謝料を請求できた事例
先ほど解説したように、体の関係はない浮気でも一定の条件を満たせば少額の慰謝料を請求することは可能です。
体の関係があったと証明できなくても、慰謝料請求が認められた過去の判例があります。
もしかすると、あなたのお悩みと似た事例があるかもしれませんので、共通の部分を探してみてください。
実際の裁判で慰謝料請求が認められた例を以下の3つ見ていきましょう。
- 東京高等裁判所・S47年11月30日の例
- 大阪地方裁判所・H26年3月の例
- 東京地方裁判所・H25年4月19日の例
1.東京高等裁判所・S47年11月30日の例
相手は夫の12歳年上で子どもが1人いた。夫の下着に女性の名前を入れたり、夫が夜間に女性を訪ねたりするので、妻は夫と女性との関係を疑っていた。夫や女性はその後も、夫婦仲にヒビが入るような言動を続けていたので、裁判所は「夫と女性の不適切な関係」を認め、女性に50万円の慰謝料支払い命令を下した。
2.大阪地方裁判所・H26年3月の例
職場の女性を気に入った夫が、その女性に何度も関係を迫っていたが、女性はうまくかわして一線を越えなかった。しかし、拒絶するわけでもなくその後も何度か会っていたので、妻が浮気を疑って女性に慰謝料請求をした。裁判所は「肉体関係までは認められないが不適切な関係があった」と認定し、女性に対して44万円の支払い命令を下した。
3.東京地方裁判所・H25年4月19日の例
かつて浮気していた相手と、夫が再び深夜に会っていたため、配偶者が浮気を疑って慰謝料請求した。かつて公正証書を書いて「80万円の慰謝料を払う約束をしていた」のも効いた。裁判所は「単に深夜に面会していただけでは不貞行為とはいえない」としながらも、婚姻生活を破綻させる不適切な行為であるとして、慰謝料の支払い命令を下した。
体の関係はない浮気の慰謝料相場
先ほどお伝えしたように、体の関係が証明できない場合でも慰謝料請求が認められた例があります。
その場合、慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか?
体の関係がある浮気と、体の関係がない浮気とで比較してみましょう。
体の関係がある場合の慰謝料
体の関係がある浮気でも別居や離婚にならなかった場合は、30万〜100万円程度の慰謝料となります。
体の関係のある浮気が原因で、別居になった場合は50万〜200万円程度、また離婚に発展した場合は150万〜300万円になることが多いようです。
また浮気相手の妊娠が認められれば、行為が悪質として300万円以上の慰謝料請求が認められる場合もあります。
体の関係はない場合の慰謝料
体の関係はない浮気の慰謝料は「50万円程度」が相場であり、100万円を超えることはないとされています。
このことが別居や離婚に至る原因になろうとも、それ以上の慰謝料は請求できないようです。
体の関係が証明できない浮気の慰謝料は、やはり少額だといえるでしょう。
それでも慰謝料がゼロなのと比べれば、気持ちが楽になるはずです。
体の関係はなくても慰謝料が高額になる場合
ところで体の関係があると証明できなくても、100万円以上の慰謝料を払ってもらえる可能性は残っています。
それは当事者同士の「話し合い」によって慰謝料問題を解決する場合です。
裁判所が判決するわけではないので証拠は不要になり、相手が慰謝料を払うと認めさえすれば、一般より高額の慰謝料を払わせることが可能となるのです。
旦那と浮気相手の体の関係を示す証拠を集めよう
もちろん浮気相手と体の関係がある証拠が見つかれば、慰謝料は全然変わってきます。
浮気をしているような素振りがあれば、できるだけ体の関係があった証拠を掴む方が有利です。
体の関係を証明できる証拠とは、以下のようなものになります。
- 宿泊を示すラブホテルの領収書
- ラブホテルに入る二人の動画や画像
- 旦那と浮気相手とのLINEなどのやりとり
- クレジットカードの明細
- カーナビの記録
これらの不貞行為を証明できる証拠を集める方法は次の3つです。
- 自分で証拠を集める
- 探偵に依頼して証拠を集める
- 自白によって証拠を集める
順に説明していきます。
1.自分で証拠を集める
旦那と浮気相手が親密な関係であったという証拠を、まずは自力で集める方法です。
証拠を集める時に重要なのは「相手に気づかれないように慎重に集めること」「浮気相手の素性を明らかにすること」です。
証拠集めをしていると勘づかれてしまうと、二人から警戒されて浮気をストップさせる可能性があります。
怒りや悲しみの気持ちがあっても、証拠が揃うまでは冷静を装ってください。
また、浮気相手の正確な住所・氏名などがハッキリしなければ、慰謝料請求が認められません。
自分で証拠集めできれば、お金をかけずに済みますが、証拠を集めたい気持ちが前に出て、違法性のある行動を取る危険性があります。
旦那の持ち物に盗聴器を付ける場合は、プライバシーの侵害になることもあるので慎重に扱いましょう。
また浮気相手とのLINEを見ようとして、旦那のパスワードなどを使って勝手にログインすると、不正アクセス禁止法に触れる恐れがあります。
2.探偵に依頼して証拠を集める
旦那と一番近い位置にいる配偶者であっても、自分の力で集められる浮気の証拠はどうしても限られてしまいます。
苦労してせっかく集めた記録も、裁判では浮気の証明として通用しないものかもしれません。
確かな浮気の証拠が欲しいなら、探偵事務所へ正式に依頼し、旦那を尾行してもらうなどの行動が必要となります。
探偵は浮気調査のプロですから、あなたの依頼に基づく詳細な「調査報告書」を作成してもらえます。
探偵に依頼した結果、体の関係がある証拠は見つからなかったとしても、この調査報告書は裁判で有利になる証拠となるでしょう。
探偵についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
- 浮気調査を探偵に依頼するメリットとデメリットとは?
- 探偵の浮気調査の費用相場はいくらぐらい?内訳や体験談
- 浮気調査の費用を格安に抑える3つの方法を紹介!安さで選んでよい?
- 浮気調査の費用も慰謝料請求できるの?認められた事例をご紹介
- 探偵が行う浮気調査の報告までの流れや期間は?報告書の内容や活用方法もご紹介
3.自白によって証拠を集める
体の関係があるかという確かな証拠がなく疑っているだけであっても、浮気を自白させることができれば慰謝料請求が可能です。
自認書に「〇年〇月頃から〇年〇月頃まで体の関係があった」と書かせて、署名押印をさせれば浮気の証拠になります。
後に相手が「体の関係はない」と言い出しても、この自認書をもとに裁判を起こして慰謝料請求できるのです。
法的に有効な浮気の証拠についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
旦那の体の関係はない浮気|まとめ
- 体の関係がない浮気は慰謝料請求が難しい
- 体の関係がなくても慰謝料請求できる条件は2つある
- 体の関係はなくても慰謝料請求できた事例はいくつかある
- 体の関係がない浮気の慰謝料相場は50万円
- 慰謝料を取りたいなら体の関係があった証拠を集めるべき
体の関係がない浮気で慰謝料を請求することは難しいですが、体の関係がなくても、状況によっては慰謝料請求が認められる可能性があります。
性的類似行為や準不貞行為があったと認められ、浮気相手との不適切な関係で夫婦関係を壊されたと証明できるなら、慰謝料請求できる可能性は高くなります。
過去の判例にも、体の関係がないのに慰謝料請求が認められた例がいくつかありました。
この場合の慰謝料は50万円が相場ですが、貰えないよりは気持ち的に楽になると思います。
もちろん、体の関係があったと証明されればもっと慰謝料を取れるので、違法行為にならないように浮気調査してみましょう。
個人での調査が難しい場合は、プロの探偵に依頼したり、本人たちの自白を促してみる方法もあります。
たとえ体の関係が証明できなくても、決して諦めずに慰謝料請求を考えてみてください。
この記事が、浮気相手から少しでも慰謝料を請求できる解決策になることを願っています。
浮気・不倫の慰謝料についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。